松本塾ワールド

東京都港区にある就活支援・松本塾

覚悟を定める

2025-09-26 22:41:12
2025-09-27 01:38:26
目次

学生時代には、試練や困難なこともやってきます。時には逃げたくなるようなこともあるかもしれません。でも、目の前に現れた試練と正面から向き合う「覚悟」が定まった時に、その試練を受け止める力が出てきます。これまでに何人もそのような若者に出会ってきました。

小学校に教育実習に行った学生の一人もそうでした。大学の担当教員として、事前に小学校に打ち合わせに行った際に、私は校長先生から「普通のクラスがいいですか?それとも、学級崩壊のクラスがいいですか?」と聞かれました。

私はためらいなく、「学級崩壊のクラスでお願いします」と答えました。学級崩壊のクラスには、それなりに力のある先生を配置しているとのことだったので、その先生の指導法や生き方に学ぶところがあると思ったからでした。しかし、私のその選択によって、実習生は大きな試練と向き合うことになりました。

その実習生の配属先は2年生でした。単学級で児童は10名。そのうち8名が「多動の子」でした。「多動の子」とは、落ち着きがない、授業中でもじっとしていられないなどの子どもたちです。授業中は担任の他に3人くらいの先生が教室について見張っていないと、子どもたちは教室から逃げてしまう状態でした。

実習が始まると、その実習生から「子どもたちに蹴られて、毎日足に青あざが増えている」とのメールが来ました。3日目のメールには「バルコニーに閉じ込められて、中から鍵をかけられて泣いた」と書いてありました。4日目以降は、その学生からメールが来なくなりました。

約3週間後に、私はその学生の様子を見に再び小学校を訪れました。私は、その学生が「落ち込んでいるかもしれない」、あるいは私のことを「恨んでいるかもしれない」と思っていました。しかし、彼女は私の予想もしないことを言ったのです。

「私はこの学校で実習できて本当によかった。そして、このクラスで本当によかった」。

私は彼女の言葉にびっくりしました。実習の3日目に彼女は思ったのだといいます。

「私はどんなに蹴られて青あざが増えても、この子たちと生きていこう」と。

彼女の腹がすわったのでした。

実習後、彼女が私の研究室を訪ねてきた時、以前に比べて彼女の顔の輪郭がはっきりしているのがわかりました。(意志がはっきりしてくると、顔の輪郭もはっきりしてくることをこれまでの若者たちとの出会いの中で感じています)「教職に就く覚悟」、「子どもたちと共に生きていく覚悟」が定まったのでした。彼女の中に眠っていた覚悟を「多動の子」たちが引き出してくれたのでした。卒業後、彼女は教師としての道を歩み始めました。

いま、もしあなたが何かの試練と向き合っているとしたら、その試練は、もしかしたら、あなたの中から「何かの覚悟」を引き出そうとしているのかもしれません。

松本塾のホームページはこちら

この記事を書いた人

松本塾 塾長 松本 淳

「学生が輝くことが私の幸せ」という気持ちで、 塾生一人ひとりと向き合っていきたいと思っています。人々の可能性の花を咲かせる「花咲かじいさん」をめざしたいです。